日高の流派
王蔵流
王蔵流は、川越市を中心に保存・継承されている囃子で、同市中台が発祥とされている。日高では、江戸時代末期(安政~万延ごろ)に上鹿山(当時は鹿山)が中台より師匠を招き、同流派を伝授された。その後、昭和30年(1955)に高麗川地区に伝え、平成20年(2008)まで高麗川地区・四本木地区合同で継承していた。その後、平成21年(2009)に四本木地区が独立し、現在に至る。
囃子の構成は、一般的な五人囃子[笛1人、シラベ(小太鼓)2人、オオマ(大太鼓)1人、摺り鉦1人]で、屋台・鎌倉・子守唄・数え歌・にんば・三番叟・昇殿[ジゴト(楽譜のようなもの)のみ]といった曲が伝承されている。特徴は、現在川越市内で保存・継承されているものとは異なり、小太鼓の左右でたたき方が同じであったり、手数[てかず(たたく回数)]が多かったりする点である。これは上鹿山が、中台で王蔵金と呼ばれる人物によって改良が行われる前の古囃子を継承したためでないかとされている。また舞(踊り)は、天狐・獅子・天太(おかめ)・もどき(ひょっとこ)の他に、現在の王蔵流にはない外道・三番叟・住吉なども伝承されており、近隣の飯能市の影響も受けていると考えられる。
小田原囃子若狭流
原宿はやし連、武蔵台囃子連が保存・継承している。
囃子の構成は、一般的な五人囃子(笛1人、小太鼓2人、大太鼓1人、鉦1人)である。
高萩ばやし
今から120〜130年くらい昔に所沢から習ったものだと伝えられている。今から160〜190年くらい昔に、 この地に疫病が流行ったことがあり、その時にどこからか分社して八雲神社を祀り始めた。この八雲神社の祭りが毎年7月14日・15日(現在は7月の第2土・日曜日)に執行される天王祭りである。この天王祭りの際にツケマツリとして何かないかということで祭り囃子をするようになったのだろうといわれている。
囃子は大太鼓・小太鼓(2台)・笛・鉦で構成されている。これらの楽器に合わせて、ひょっとこ・外道・狐・獅子・オトーカ・おかめの踊りがつけられる。この中ではおかめの踊りが一番長く、全部で30分くらいかかる。曲はニンバ・シチョウメ・カマクラ・ショウデン・ヤタイがあり、ひょっとこ・外道はニンバ、狐・オトーカはヤタイ、獅子はヤタイ→カマクラ→ショウデン→ヤタイ、おかめはニンバ→手まり歌、羽根つき歌、ねんねんころり→ニンバである。